インプラントをするには骨が足りない!どうしたらいい?
監修医より
骨を増やす手術など、対応方法はあります
インプラントは、チタンでできた人工歯根を顎の骨に埋入する手術です。土台となる顎の骨が足りなければ、インプラントをできないことがあります。顎の骨が足りないという理由で、インプラントを断られた方もいることでしょう。
しかし、たとえ顎の骨が足りなかったとしても、インプラントを諦める必要はありません。骨造形や骨造成といった、専門的な手術を受けることによって、顎の骨を増やすことができるからです。
骨が足りなくなる病気は骨粗鬆症といって、若年成人平均骨量の70%から80%程度で診断されます。そのほかにも長期間歯がない状態が続くと、顎骨が痩せてきてしまいます。インプラント治療に必要な骨の大きさは、歯槽骨の幅が5mm、高さが10mm以上あることが一つの目安となります。
顎の骨不足は、残念ながら多くの人に見られます。インプラントを検討する際には、顎の骨を増やす手術も行っているクリニックに相談するようにしましょう。


【滝澤先生に聞く】骨が足りない場合のインプラントQ&A
骨が足りない状態って?
骨が足りない状態は、ひとつの目安として骨粗鬆症の診断基準が当てはまると思います。基準値は若年成人平均骨量の70%から80%以下だと骨量が不足していることになります。
自分の骨が足りないか、どう確認すればいい?
抜歯をしたり、歯が抜け落ちてしまったりしてから長期間経過している人はその部位に噛む力が伝わらなくなるので、骨吸収が進行している場合があります。ただ、自分ではどれくらいの骨量かわかりませんから、歯科医院で検査をしてもらいましょう。
骨が足りなくてもインプラントはできる?
骨が足りないと、インプラント体と骨の強固な結合ができません。ですから、足りない場合には下記にご紹介しているような骨造成手術をおこなって骨を増やすことが必要です。
どんな病院がおすすめ?
まず、骨が足りない場合に骨造成の手術がおこなえる歯科医院であること。そして、骨の状態を詳しく調べられる歯科用CTスキャンが設置してあることがです。この2つの要件を満たしている歯科クリニックを選択してください。
骨が足りなくなってしまう原因
大きく分けて「生まれつき骨が薄い」「歯周病などが原因で骨が溶けてしまっている」「何らかの事情で歯を抜いていた」といったことが考えられます。
生まれつき骨が薄い
顎の骨が足りないことの原因として、「生まれつき」があります。おそらく、親族のどなたかも、きっと顎の骨が足りないことでしょう。
生まれつき骨が薄い患者さんでも、手術によって骨に厚みをつけることにより、インプラントが可能な骨にすることができます。
歯周病などが原因で骨が溶けてしまっている
歯周病や虫歯が著しく進行してしまうと、歯の土台となる顎の骨が溶けてしまことがあります。この場合、たとえ抜歯をしても顎の骨不足でインプラントができないことがあります。
もちろん、顎の骨を増やす手術を受けることで、インプラントに耐えられる土台に仕上げることができるのでご安心ください。
何らかの事情で歯を抜いていた
歯周病や虫歯などが原因で抜歯をし、そのまま長期間放置した場合、顎の骨が少しずつ痩せてくることがあります。放置した期間が長ければ長いほど、顎の骨がどんどん減ります。
何からの理由で抜歯した方がインプラントを検討する場合には、抜歯後、早急にインプラント歯科医院に相談することが大切です。
インプラントをできるようにするにはどうすればよい?
骨を増やす手術を受けることによって、治療を受けられるようになる可能性があります。代表的な施術として、「GBR」「ソケットリフト」「サイナスリフト」といったものが上げられます。
GBRは骨に広さがない人に向いている
骨に広さがない人に向いている治療法になります。理由は単純で、骨に広さを持たせるための治療法になるからです。ガイデット・ボーン・リジェネレーションの略で骨誘導再生法とも呼ばれます。骨の足りない部分に人工骨を流し込み、人工膜で覆いかぶせて密封することで固定化させます。インプラントの治療を同時進行で施術したい人にも向いている方法です。
価格は、GBR単体で15万円~30万円ほどを見ておくとよいでしょう。インプラントも同時進行で施術する場合は、50万円以上になることも珍しくありません。ともあれ、時短をしたい人にとっては最良の治療方法と言えるでしょう。
ソケットリフトは骨の厚みが最低5mm必要
骨に厚さがなくインプラント治療を断られてしまった人に向いている治療法です。ただし、骨の厚みが最低でも5mm必要となります。5mm以下では、残念ながら本治療を行うことはできません。価格は1ヵ所50,000円~15万円ほどになります。数ヵ所一気に行うこともあれば、分けて行うこともあります。ダウンタイムは3ヵ月から5ヵ月となっているため、複数箇所を行う場合は長丁場になってしまいます。上顎の骨に穴を開けて空洞部分に人工骨を流し込む方法となるため、身体に掛かる負担も比較的に軽く済みます。
サイナスリフトは骨に厚みがない人に向いている
ソケットリフトと同様に骨に厚みがない人に向いている治療法となります。ソケットリフトとの違いは、骨の厚みが5mm以下でも治療が可能ということです。上顎と膜の間に骨を注入して安定させることになります。大掛かりな手術になる傾向があり、費用や時間、痛みなどは、どうしても大きく患者への負担が大きいです。しかし、大々的な手術だからこそ、丁寧に治療することができるメリットがあります。しっかりと安定させることができるため、インプラント本体を埋め込んだ後も、長く安定して使用することができます。
また、ソケットリフトと同時で治療することも可能です。膜の下からと上からと両方で進めることで、さらに骨に厚みを持たすことができるわけです。
価格は、大々的な治療となるため少し高く、20万円~30万円です。ソケットリフトと同時で進める場合は、さらにお金が必要となってきます。
スプリットリフト(スプリットクレスト)
スプリットリフト(スプリットクレスト)とは、骨の厚みが足りない場合におこなう治療法です。具体的には5mm未満の場合には検討されます。歯槽骨に細い器具を徐々に挿入していき、器具の幅を変えながら骨の幅を広げていきます。つまり、骨を分割して、インプラント体を埋入していくので、名称がスプリットといわれているわけです。
施術に使用する内容や材料などは、骨分割・拡大・人工骨・メンブレン・根尖ブロック骨移植などが必要になり、費用としては、80,000円前後となります。
明敬会の取り組み
当サイトを監修していただいている医療法人社団明敬会では、顎の骨が足りない方に対し、それぞれの状態に応じた適切な骨造成術を行っています。明敬会で行っている骨造成術の特徴や料金などを確認してみましょう。
GBR
- 料金:80,000円/本
顎の骨の高さと幅が不足している患者に対し、GBRが検討されます。GBR適応の目安は、上顎の場合、高さが10nn以下かつ幅が5nn以下、下顎の場合、高さが8nn以下かつ幅が5nn以下となります。
ソケットリフト
- 80,000円/本
上顎の奥歯において、骨の高さが不足しているときにソケットリフトが検討されます。ソケットリフト適応の目安は、上顎の高さが10mm以下となります。
スプリット
- 80,000円/本
上顎または下顎において、骨の幅が不足しているときにスプリットが検討されます。スプリット適応の目安は、顎の骨の幅が4mm以下となります。
歯科用CTスキャンを完備
医療法人社団明敬会では、患者さんの状態を正確に把握するために歯科用CTスキャンを完備しています。CTでは1秒間に数百枚の画像を撮影、平面的ではなく3D画像であらゆる方向から診断が可能です。また、専用のソフトを使用すればどこにインプラント体を埋入するかをコンピュータ上でシミュレーションできます。
監修者紹介

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長
滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。
患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。
「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。
運営者情報
ヘルスケア編集部Zenken株式会社
歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。
「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。
免責事項
切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて
監修:医療法人社団 明敬会
タキザワ歯科クリニック
03-3685-1444
湘南藤沢歯科
0466-37-3090
一般的な費用相場
190,000~400,000円程度(税抜)
※インプラント1本の埋入価格
【インプラント治療にかかる期間】
インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。
主なデメリット
歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。