脳血管障害でもインプラント治療はできますか?
監修医より
既往歴があるだけならインプラント治療は可能
脳血管障害は、脳にある血管が障害を受けることにより生じる疾患の総称。具体的なものとして、脳出血や脳梗塞などがあります。脳血管障害を患っているとインプラント治療を受けられないというケースが多いのですが、絶対に受けられないという訳ではありません。既往歴があっても、併発疾患の有無や状態によっては治療が受けられます。インプラント治療で重要なのは、施術を受けた後の自己管理。歯磨きなど口腔内のメンテナンスをきちんと行わなければなりません。脳血管障害によって運動障害を発症してしまうと、歯磨きができないということも考えられます。そうなると、最悪の場合、インプラントを取り外すということにもなってしまいます。
ですので、併発疾患がある場合は内科医とよく相談することがかなり重要。病状がコントロールができていれば大丈夫です。


【滝澤先生に聞く】脳血管障害のインプラントQ&A
脳血管障害とは
脳血管障害は大きく分けると、脳動脈が動脈硬化や血栓などで詰まってしまう脳梗塞と血管が破けてしまう脳出血があります。脳出血で多いのが脳を包んでいる膜組織のひとつ「くも膜」の下にある動脈が出血する「くも膜下出血」です。
脳血管障害がリスクファクターの理由
脳血管障害の既往がある患者さんは、高血圧や糖尿病などを併発していることが多いので、これらの症状を十分にコントロールすることが重要です。また、運動麻痺などがあるときには、手術の可否を評価することがあります。
抗血栓療法を受けている場合はどんなことに気を付ければ?
抗血栓療法とは、血液の流れをサラサラにする薬剤を飲むことなどです。インプラント治療に限らず、観血的な治療では止血が難しくなるため、必ず事前に申告をしましょう。かかりつけの医師にも相談して、手術前に薬の一時中止や減量を検討します。
脳血管障害患者がインプラントを受けるには
基本的には症状が落ち着いていればインプラント治療を受けることができます。ただし、歯科医師とかかりつけの医師が連携を取る必要がありますので、事前に相談をしておきましょう。また、十分な検査体制がある歯科医院を選んでください。
脳血管障害とは
脳血管障害とは、その名の通り、脳にある血管が障害を受けることで発生する疾患の総称を言います。脳血管障害は、脳出血と脳梗塞とに分けることができ、さらに脳出血は脳内出血とクモ膜下出血、脳梗塞は脳血栓および脳塞栓に分類されます。
脳の血管が破れてしまい脳内で出血することで細胞が障害された場合は「脳出血」という病名になり、一方、脳の血管が詰まったり閉塞することで脳への血流量が減ってしまい、細胞が障害された場合は「脳梗塞」となります。
脳血管障害がリスクファクターの理由
抗血栓療法を受けている
脳血管障害の患者さんには抗凝固薬や抗血小板薬が処方されている事が多いです。薬剤名は「ワーファリン」や「バイアスピリン」、「バッファリン」、「バナルジン」などです。これらの薬剤を飲んでいると、インプラント手術時に止血が困難になることがあります。対応策としては、止血可能な薬剤濃度に下げることになります。しかし、それにより血栓ができないようにする必要があるので、歯科医師とかかりつけ医師との連携が重要になります。
脳梗塞
脳梗塞の既往がある方は、運動機能麻痺の後遺症が残る場合があります。インプラント治療で特に問題になるのは嚥下障害(えんげしょうがい:飲み込む機能の障害)です。少しでも飲み込みづらいと感じる感覚があれば、必ず事前に歯科医師に相談してください。また、自分では感じられない場合もあるので、かかりつけの主治医にもインプラント治療のことを相談しておきましょう。
脳血管障害患者がインプラントを受けるには
では、脳血管障害を患っている人はインプラント治療を受けることができないのでしょうか?可能性は決してゼロではありません。脳血管障害の治療を行う内科医とインプラント治療を行う歯科医師が密に連携し、病状をコントロールしていればインプラント治療を受けることは可能です。ただし、現在進行形で脳出血などがないという条件付きとなってしまいます。この場合、既往歴があっても特に問題はありません。
どうしてもインプラント治療を受けたいからといって、歯科医師に脳血管障害を患っていることを内緒にしておくのというのはもってのほか。最悪の場合、命を落とすということにつながらないとも限りません。自分の病状などについては、必ず正直に話すようにしましょう。
脳血管障害患者のインプラント症例
ここで脳血管障害を持ちながらインプラント治療を受けた具体例について紹介していきます。
治療を受けたのは、既往歴に脳内出血がある70歳代の男性。後遺症として右半身に若干の麻痺が残っていたそうです。こちらの男性は上あごに歯がなく入れ歯を入れていたのですが歯茎に合っていなかったため、インプラント治療を受けることにしました。あごの骨にインプラント体を埋入する一般的なインプラント治療ではなく、頬骨にインプラントを入れる「ザイゴマインプラント」を実施。インプラント体の埋入と義歯の装着で2度、外科的治療を行いましたが経過は良好とのことです。
監修者紹介

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長
滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。
患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。
「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。
運営者情報
ヘルスケア編集部Zenken株式会社
歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。
「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。
免責事項
切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて
監修:医療法人社団 明敬会
タキザワ歯科クリニック
03-3685-1444
湘南藤沢歯科
0466-37-3090
一般的な費用相場
190,000~400,000円程度(税抜)
※インプラント1本の埋入価格
【インプラント治療にかかる期間】
インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。
主なデメリット
歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。