心疾患でもインプラント治療は受けられる?

監修医より

心疾患でもインプラントができる場合があります

インプラント治療は、外科的治療を必要とするため、心臓に大きな負担がかかってしまうこともありますが、手術自体が危険なものとそうでないものがあります。普段からお世話になっている内科医の先生に相談し、病気のコントロールがきちんとできているのであれば、インプラント治療を受けることは可能です。心臓への負担を軽減しながら行うことができる静脈内鎮静麻酔をしている歯科クリニックがおすすめ。まずは、かかりつけの内科医の先生としっかりと相談することが重要です。

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【滝澤先生に聞く】心疾患のインプラントQ&A

心疾患とは

心疾患で代表的なものは、動脈硬化などで血流が滞ることで起きる虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、心不全や心臓弁膜症、心筋症などがあります。

心疾患がリスクファクターの理由

心疾患の患者さんがインプラント治療を受ける場合、手術中にショックや心不全などが起こらないようにする必要があります。生体モニターを注意深く観察しながら手術を行います。また、主治医との連携も必須です。

心疾患患者がインプラントを受けるには

インプラント治療を受けるには、どれくらいのレベルの症状なのかを判断する必要があります。主治医の先生と連携を取りながら合併症や症状のコントロール状態を観察して手術が可能かを判断していくことになります。

心疾患とは

心疾患とは、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患をはじめ、不整脈や心不全、心臓弁膜症、心筋症、先天性心疾患といった心臓で起きる病気の総称です。

私たちの心臓は、1分間に約70回、1日にすると約10万回も収縮と拡張をくり返し、血液を全身に送り出しています。このハードな運動を行っているのが、心臓の筋肉、つまり心筋です。

心臓をとりまく冠動脈は、その心筋に酸素や栄養を供給しています。ところが冠動脈に動脈硬化などの症状が起こってしまうと、血液の通り道が狭くなったり、場合によっては血栓ができて詰まってしまうことも。そうすると心筋に酸素がいかなくなり、強い痛みをともなう発作が起こり、急速に心臓の機能が停止してしまいます。心臓に十分な血液が行き渡らないため、引き起こされる病気なので虚血性心疾患と呼ばれます。代表的なものとして挙げられるのが狭心症と心筋梗塞です。

動脈硬化などの理由で冠動脈が狭くなってしまうのが狭心症、さらに状態が悪化し血液の塊ができてしまって閉塞し、完全に血流が途絶えてしまうのが心筋梗塞となります。

心疾患がリスクファクターの理由

心筋梗塞

心筋梗塞は動脈硬化などによって、心臓に血液を循環させている大きな動脈「冠動脈」が閉塞してしまう疾患です。血流が滞ることによって、心臓に酸素が供給されなくなり心臓の筋肉が壊死してしまいます。心筋梗塞の経験がある人がインプラント手術を受ける場合には、後遺症がどれくらいあるかが問題となります。不整脈や心不全などがある場合には手術中のリスクが伴いますので、かかりつけの主治医、歯科医師と連携をとってもらい慎重に判断してください。

狭心症

狭心症も上記の心筋梗塞とともに虚血性心疾患と呼ばれる症状です。心筋梗塞と異なる点は、冠動脈が完全に閉塞していない状態ということです。血管の狭窄によって血流の低下があり、胸が痛くなるなどの症状が出ます。インプラント手術を検討する場合には、狭窄している血管がどれくらいあるか、狭窄の程度などを把握しておく必要があります。薬でうまくコントロールできていれば手術は可能ですが、ニトログリセリンの用意など、発作時の対応も歯科医師、主治医と話し合っておきましょう。

不整脈

不整脈は大きく分けて3種類のタイプがあります。脈が遅くなる徐脈、逆に早くなる頻脈、そして、脈が飛ぶようになる期外収縮です。原因はさまざまですが、健康な人にも見られますので、病的なものではないことも多いです。心疾患を原因とする不整脈の場合のインプラント治療は、良好なコントロールができていれば可能です。ペースメーカーを入れている方は、主治医とよく相談をして判断してもらいましょう。インプラント手術時には生体モニターで脈の動きを注意深く観察しながら行います。

インプラントをできるようにするには?

1998年に発表された論文「インプラント治療部への新来患者に関する臨床統計的検討」によると、心疾患や糖尿病といった全身的な疾患だけを理由に適応しないと判断した症例はなかったとされています。また、デンタルインプラントを中心とした学問を取り扱う専門の学術団体の1つ、「日本口腔インプラント学会」が発表している治療指針によると、虚血性心疾患そのものは、インプラント治療の予後に対する危険な要因ではないと示しています。さらに後遺症がない状態であれば、鎮静麻酔を使用することにより、インプラント治療が可能とも説明しています。

また臨床研究の結果を元にした「歯科診療所でのインプラント手術に対する静脈内鎮静法の検討」においては、手術を行う担当医が麻酔を理解した上で、麻酔科医が直接、麻酔を行うのであれば、インプラント治療は問題ないと指摘されています。ただし、こちらの論文では、既往歴などの申告がなかった患者もいるため、術前の問診を念入りに行ったことにより危険を回避できたとの見方もあります。

これらのことを総合すると、心疾患があるからといって必ずインプラント治療を受けられるわけではないが、手術によるリスクが増えるため、まずは内科医によく相談し、その後、歯科医師にも自分の体のことを正直に話すことが重要です。

心疾患患者のインプラント症例

患者さんは70代の男性でインプラント埋入の1次手術をおこなった2ヶ月後に、倦怠感で内科を受診したところ心臓に異常が見つかりました。診断は劇症型心筋症(ウイルスなど何らかの感染症で心筋に炎症が発生する病気)で、インプラント手術との関連はないと考えられます。

患者さんは循環器内科で治療を受けて、症状は軽快。3ヶ月後にはインプラントの2次手術をおこなうこととなりました。循環器内科の医師と連携を取り、徐脈を避けるように指示があったので、静脈内鎮静法による手術を実施。生体モニターを設置し心電図を観察しながら、急変に備え薬剤の準備していましたが、術中、術後とも良好な経過でした。その後ほかの部位にもインプラント手術を実施し、計3回の手術は良好な状態で終了しました。

参照:東京歯科大学麻酔学講座・短報「劇症型心筋炎既往患者に対するインプラント手術のための静脈内鎮静法経験」

監修者紹介

滝澤聡明

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長

滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。

患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。

「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。

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運営者情報

ヘルスケア編集部Zenken株式会社

歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。

「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。

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免責事項

切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて
監修:医療法人社団 明敬会

タキザワ歯科クリニック
03-3685-1444

湘南藤沢歯科
0466-37-3090

一般的な費用相場
190,000~400,000円程度(税抜)
※インプラント1本の埋入価格

【インプラント治療にかかる期間】
インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。

主なデメリット
歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。

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