ソケットリフト
監修医より
ソケットリフトとサイナスリフトの同時治療
上あごには上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる部分があります。その上顎洞を持ち上げて、補填材料を入れるのです。そうすることで骨の量を補うことができます。補填材料は、インプラントを埋め込むために開ける穴から挿入。持ち上げられた上顎洞(じょうがくどう)は、約4~5ヶ月で骨に変わり、安定します。
インプラント治療は、最低10mm以上は骨の高さがなければ適用できません。ソケットリフトは、骨の高さが10mm以下であるためインプラント治療を受けられない人を対象にした治療方法です。それらの人に補填材料を入れることで、インプラント治療を受けることができるようにするための方法なのです。
しかし、ソケットリフトを受けることができる人も限られており、上あごから上顎洞までの距離が5mm以上ある場合にのみソケットリフトが適用できます。
しかし、状況によっては「ソケットリフトとサイナスリフトを同時に行う」という治療も可能となっています。ともあれ、インプラント治療ができないと思っても、ソケットリフトを始め対処する方法があります。諦めずに多くの情報を集めて歯科医院に相談してみることをおすすめします。
ソケットリフトとは?
ソケットリフトとは、上顎に人工の骨を埋めて骨の厚みを出すことを目的にした手術です。
インプラントは、歯根部に「インプラント体」と呼ばれるネジのようなモノを埋めます。これを埋めるためには、基本的に骨の厚さが10mmほど必要とされています。しかし、人それぞれ個性があるように骨の厚さ・薄さも異なります。つまり、全員が全員、この10mmの厚さをクリアしているわけではありません。
そこで人工の骨を埋め、厚さを出してインプラント治療をできる状態にします。これがソケットリフトです。骨の薄さを理由にインプラントを断られてしまった人は、検討してみたい手術といえます。
ソケットリフトの施術の流れ
大まかな施術の流れは以下のようになります。
- 骨に穴を開ける
- 開けた穴から人工の骨になるジェリー(β-TCPなど)を流し込む
- 流し込んだジェリーが固まるのを待つ
工程自体は単純ではありますが、骨になるまで待つことになるため期間は長くなります。おおよそですが、固まるまで3ヵ月~5ヵ月程度必要とされます。
そもそも、骨が薄い状態とは、上顎の空洞部分が広くなってしまっている状態のことを指します。ソケットリフトは、その空洞部分に人工骨を注入することで埋めるという手術になります。
なお、注入した人工骨の状態が良く問題がなければ、ソケットリフトと同時にインプラントを埋め込むことも可能です。
サイナスリフトとの違い
ソケットリフトを話題に出すと、セットでよく語られるのが「サイナスリフト」になります。サイナスリフトとは「上顎洞底挙上術(じょうがくどうていきょじょうじゅつ)」とも呼ばれています。一言で言えば、上顎の空洞部分を上に押し上げて人工骨を流し込む形になります。ソケットリフトは、空洞部分に人工骨を流し込むため、ここに大きな違いがあります。
サイナスリフトは、歯茎をめくって空洞部分を直接持ち上げることになるため、それなりに大きな手術になります。そのため、「ソケットリフトの方が負担は軽いから、サイナスリフトは時代遅れの治療では?」と感じてしまうかもしれません。当然の疑問だと思いますが、残念ながらソケットリフトも万能な治療法ではありません。
実は「骨の厚みが5mm以上なければソケットリフトの治療はできない」という条件があります。結果、5mm以下の場合は、否応なしにサイナスリフトという選択を取ることになります。このように、治療ができる骨の厚さにも違いがあることが分かります。
ソケットリフトのメリット
最大のメリットは、骨の厚さが足りないことが理由にインプラント治療ができなかった人でもできるようになることです。もう1つは、身体にかかる負担が軽減されているということです。少しだけ穴を開けて人工骨を流し込むだけの治療だからこそ、得ることができた大きなメリットの1つとなります。その結果、治療費に関しても、サイナスリフトと比較すると安くすることができます。
ソケットリフトのデメリット
デメリットは「骨の厚さが5mm以上ないと治療することができない」ことが挙げられます。上顎にある空洞は、歯がない状態が続けば続くほど広くなってしまうため、タイミングを逃すと、このソケットリフトの治療が受けられなくなるわけです。
空洞が広がることを知らない人、そもそも骨に厚みがないとインプラントができないことを知らない人、このような人は多いです。そのため「時すでに遅し」という状態になってしまうことが多く、最大のデメリットになってしまっています。
また、手術の中でも難しい部類になるため、歯科医のスキルの良し悪しによって結果が異なることもあります。
ソケットリフトが向いている人
- インプラントにしたいけれど骨の厚みが足りない人
- 時間がかかってもインプラントにしたい人
インプラントは自分の歯のように使えて、見た目も良いなど、メリットの多い治療法。ソケットリフトのデメリットを差し引いても得られるものが多いと感じられれば、ソケットリフトを受けるのに向いているのではないでしょうか。
ソケットリフトが向かない人
- 骨の厚みが極端に薄い人(だいたい5mm以下)
- 経済的・肉体的な負担を増やしたくない人
インプラント治療の他にソケットリフト費用も追加で必要になるだけでなく、治療期間が長引いたり、手術回数も増えます。肉体的・経済的な負担が大きくなるのが嫌だという人には向かないでしょう。
ソケットリフトの基本情報
ここではソケットリフトの基本的な情報について、まとめていきます。試してみようかなと考えたとき、もう少し具体的な情報が欲しくなるのが常ですので、ぜひ参考にしてみてください。
価格
開きはありますが、価格の目安は5~15万円です。当然、歯科医院によって値段は変わってきますし、具体的にどこを治療するのかでも値段は変わってきます。さらに、何ヵ所の施術をするのかでも変わってきます。
ダウンタイム
注入した人工骨が固まるまで、おおよそ3~5ヵ月となっているため、ダウンタイムもこれと同じぐらいとなります。数ヵ所の施術を行う場合、一気に行ってしまうのか、回数を分けるのかは、状況によって異なります。ダウンタイムも含め考えていくことになり、長期戦を覚悟しないといけないこともあります。
痛み
当然、身体の一部に穴を開けて人工骨を流し込むことになるため、痛みはあります。ただ我慢が出来ないほどの強い痛みというわけではなく、痛み止めも処方されます。心配であれば施術をしてくれる歯科医に遠慮せずに相談するとよいでしょう。


明敬会で行うソケットリフト
ソケットリフトを施術してくれる歯科医院はいくつもありますが、ここでは、その中でも医療法人明敬会について触れていきます。
ソケットリフトは上あごから上顎洞までが5mm以上必要
ソケットリフトを行うには、上あごから上顎洞まで、5mm以上の長さが必要になります。最低10mm必要になるインプラント治療よりは施術を受けやすい条件となっています。
可能な限り負担を減らす考え方
歯科医院によっては、より確実な方法を取るために、身体への負担が多少大きくなっても「必要なこと」と割り切って治療をすることもあります。もちろん、これも1つの選択肢です。
しかし、当たり前の話ですが、できれば身体に負担を掛けずにインプラント治療を行うことが一番です。医療法人明敬会では、この考え方をベースに患者の治療にあたることを心がけているのが特徴となります。
β-TCPと呼ばれる人工骨を使用
負担の軽減を心がけると同時に、安全性にも力を入れています。その最たる例が、人工骨にβ-TCPを使用していることです。このβ-TCPは完全な人工骨で、人骨や牛骨を使用していません。したがって、感染症のリスクを最小限にするという大きなメリットを持っています。医療法人明敬会は、患者の安全を考え、これをいち早く導入していた医療法人です。
費用
- ソケットリフト(上顎洞挙上術):80,000円/本(税抜)
インプラント治療費が10万円からなので、安い治療費と言えるでしょう。
【滝澤先生に聞く】インプラントのFQA
ソケットリフトはどんな人に必要か
インプラント治療は、最低10mm以上は骨の高さがなければ適用できません。 骨の高さが10mm以下でインプラント治療を受けることができない人が、インプラント治療を受けることができるようにするためにソケットリフトをすることが多くあります。 しかし、ソケットリフトを受けることができる人も限られており、上あごから上顎洞までの距離が5mm以上ある場合にのみソケットリフトを適用することが可能です。 5mm以下でソケットリフトが適用できない方は、サイナフリストという方法を採る必要があります。 サイナスリフトは、5mm以下でも適用可能。そのため、あごの骨が極端に低い方でもインプラント治療が可能になります。
ソケットリフトに対応している人は?
顎の骨が5mm以上10mm未満の方です。
ソケットリフトの費用は?
サイナスリフトを含めたインプラント1本の費用は、42~70万円程度です。相場は約55万となっています。
ソケットリフトはどんなことをするの?
上あごを包む膜を押し上げ、補強填材を入れる空間をつくり、インプラントを埋入できる厚さを人工的に作るのです。
ソケットリフトの手術の流れは?
ます初めに初心カウンセリングを実施。検査を行ない、治療計画を立てます。その後施術を行ない、骨の状態が安定するのを待ちます(10カ月程度)。検査⇒治療計画を立てる⇒インプラント手術⇒消毒・洗浄と抜歯⇒治癒を待つ⇒アバットメントを装着⇒治癒を待つ⇒義歯⇒義歯の取り付け⇒メンテナンスと定期健診
監修者紹介

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長
滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。
患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。
「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。
運営者情報
ヘルスケア編集部Zenken株式会社
歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。
「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。
免責事項
切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて
監修:医療法人社団 明敬会
タキザワ歯科クリニック
03-3685-1444
湘南藤沢歯科
0466-37-3090
一般的な費用相場
190,000~400,000円程度(税抜)
※インプラント1本の埋入価格
【インプラント治療にかかる期間】
インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。
主なデメリット
歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。