インプラントの種類

インプラントとは、チタンなどでできた棒状のもの(フィクスチャ)を、顎の骨に削り埋め込むことで支台にし、咬合機能を回復させる手術の事を言います。

実はこのインプラント体というのは、世界に数百社もあるといわれており、それぞれのメーカーごとに、仕様や機能が異なります。

このため、患者さんとの相性が良いものを選ばなければなりません。ここでは、そんなインプラントを製造しているメーカーとその製品について解説していきます。

インプラント手術に関して興味のあるかたは、以下のページでまとめているので、のぞいてみて下さい。

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メーカー選びの重要性

インプラントのメーカー選びの重要性は、専門家の間でも比較検討されています。例として、表面性状の「滑面」と「粗面」で比較した論文を見てみましょう。

1つ目は機械加工の滑面インプラントと、サンドブラストを施したインプラントの比較です。男女21名を6年8ヶ月から13年2ヶ月観察した結果です。主に骨吸収について調査していますが、埋入から3年目と5年目では統計的に有意な差は認められませんでした。しかし、粗面インプラントの一部に比較的大きな骨吸収を認めた症例がありました。粗面インプラントの場合には、メインテナンスを充実させる必要があると考察しています。

参照:徳島大学院医歯薬学研究学部「インプラント体の表面性状の違いが周囲骨吸収に及ぼす影響:埋入後5年経過時の同一患者の隣接するインプラント体による比較」

2つ目では、オッセオインテグレーションの獲得についての調査です。滑面インプラントと粗面インプラントを122症例で比較しています。オッセオインテグレーションが獲得できなかったのは滑面で3.5%、粗面で0.8%でしたが、統計学的には有意な差になりませんでした。しかし、上顎に埋入された場合と初期固定が不良な場合には粗面インプラントのほうがオッセオインテグレーションを獲得しやすかったという結果です。また、骨量や骨質にも影響を受けないことがわかりました。このことから、表面性状がオッセオインテグレーションに影響を与えることがわかります。

参照:秋田大学医学部付属病院「インプラントの表面形状がオッセオインテグレーション獲得日及ぼす影響」

ストローマン社のインプラント

チタン製だけでなく、アレルギーフリーの素材で作成した世界でもシェアされているインプラントもあります。2016年に日本で発売を開始した「Roxolid」は、骨と結合しやすい傾向にあるジルコニウムとチタンを配合。インプラントが早く安定するように、表面が凹凸になっているのが特徴です。

アレルギーフリーの「ピュアインプラント」は人口の骨よりも固いジルコニアを採用しています。強度はもちろん、骨との親和性もあるため金属アレルギーの方でもインプラント治療を受けられるのが嬉しいポイントです。

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ノーベルバイオケア社のインプラント

ノーベルバイオケアのインプラント「ノーベルアクティブ」は、スペースが小さい箇所にも埋入できるように作成されています。埋入が難しいとされている前歯にも対応できるのがメリットです。

他にも凡庸性が高いとされる「ノーベルパラレルCC」や「ノーベルテーパードCC」などがあります。ノーベルパラレルCCは埋入後すぐに仮歯を付けられるので、術後は物を噛むことが可能です。ノーベルテーパードCCは骨に固定しやすくなるよう、天然歯根に近づけたデザインで作成されています。

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デンツプライ社のインプラント

デンツプライが扱うインプラントの1つ「アンキロス」は4種類の直径と6種類の長さがあり、合計22パターンの中から自分に合ったインプラントを選べます。パターンが複数あることで、自分にあったインプラントを見つけやすいのがメリットです。

「アストラテックインプラントシステム」はインプラント上部の溝を細かくして力の分散する、「ザイブ」はスペースが限られていたり骨が柔らかかったりするケースでも埋入できるなどそれぞれに強みがあります。

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オステム社のインプラント

1997年に韓国で開発されたインプラントメーカーです。アジア人の骨格に合わせて太く短いインプラントが開発されているため、日本人の骨格にも合った治療が期待できます。

「USシステム」や「SSシステム」など、さまざまなインプラントを用意。サイズも複数あり、長さが短いミニや横幅が大きいワイドなど、患者一人ひとりに合わせやすいラインナップが魅力です。

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ジンマーバイオメット社のインプラント

ジンマーバイオメットは10年以上の臨床成績をもとにインプラント「BIOMET3iインプラント」を作成しているメーカーです。複数あるインプラントのうちの1つ「T3エクスターナルインプラント」の表面加工は、18年以上の研究を行ったうえで技術を採用しています。酸処理および機械研磨による表面加工との比較研究も行われており、結果として同じ合併症リスクの抑制値が出ました。

サイズは長さ8.5~15mmまであり、埋入する場所や骨の密度にあったインプラントを選べるのがメリットです。

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バイオホライズン社のインプラント

インプラントと骨の結合を促すため、25年以上の研究により特許を取得したレーザー技術「Laser-Lok」を採用しているバイオホライズン。インプラント埋入後にかかる負荷を分散しつつ、加工した表面が細胞に密着するようにした「テーパードプラスインプラント」。骨の高さが限られている症例に対して使用される「ショートインプラント」など、さまざまな工夫を施したインプラントで治療を行います。

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バイオフィックス社のインプラント

2015年にできた「バイオフィックスインプラント」は細かい溝と高低差のある溝の2種類を組み合わせているのが特徴です。細かい溝にすることで骨と接触する面積を向上。高低差のある溝は安定した固定を目的として作られました。インプラントの先は細くなっており、埋入時に隣接する歯根と接触して炎症を起こすリスクを軽減します。

細かい溝の上には円形が重なりできた溝があり、インプラントと歯茎に隙間ができないようにしているのがポイントです。隙間の発生を防ぐことにより、感染症のリスク抑えられます。

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Zシステム社のインプラント

セラミックインプラントのグローバルリーディングカンパニーであるZシステム社。表面上の色・形状などの審美性のみならず、独自の開発メソッドによる圧倒的強度・優れた骨結合・豊富なラインナップを誇るZシステム社の商品の特徴を解説します。

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NEODENT

ストローマン会社の子会社として誕生し、2019年6月に日本で承認された、比較的新しいインプラントです。

エンドポア

エンドポアは、既に生産が終了しているインプラント体です。しかし、過去にエンドポアを入れている方にとっては、メンテナンス等の都合上、在庫のあるクリニックを受診するのがおすすめです。明敬会ではエンドポアの在庫も扱っているので、問い合わせてみてください。

京セラ(POIインプラント)

2019年11月現在、4つの製品が公式HPではラインナップされていますが、そのどれもが厚労省の認可を取得しています。国内製造のため価格が安いというのもポイントです。

デンティウム

2000年に設立された韓国企業です。EUではEC、米国ではFDAの認可を受ける等、世界的にも信頼された品質を持つメーカーとして注目されています。

スウェーデンマルチナ

1972年にイタリアで設立されたインプラント会社です。コールドプラズマによる表面洗浄といった技術が特徴です。

日本ピストンリング

POIと同じく日本産のインプラントです。IAT EXAという製品を製造しており、ワイヤ放電加工による表面加工が大きな特徴です。

バイコン

2007年にFDAを取得したアメリカのインプラントメーカーです。バイコンデザインという独特の表面形状が特徴です。

プラトンジャパン

年間約40,000本が使用されている日本産インプラントです。日本人向けに作られた国産インプラントですが、ストローマン社のインプラントと互換性があることも特徴の一つです。

トーメン

スイスが本拠地のメーカーです。日本ではモリタという会社が正規代理店として管理しています。SPIシステムというインプラントシステムを販売しています。

AQB

日本産の格安インプラントの代名詞ともいえるAQBインプラントを生産するメーカーです。ハイドロキシアパタイトという特殊な表面コーディングが大きな特徴です。

監修者紹介

滝澤聡明

滝澤 聡明医療法人社団明敬会 理事長

滝澤理事長の運営するクリニックでは、全国のクリニックでも数少ない「全症例の9割近くをフラップレス手術で行っている」クリニックです。

患者さんのためになる施術・カウンセリングを心がけており、フラップレス手術を推進するのもその思いがあってこそ。

「医療は絶えず変化するもの。だから自分の医院の診療もその変化に必ずついていく」という考えのもと、新しい技術を積極的に取り入れています。

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運営者情報

ヘルスケア編集部Zenken株式会社

歯を失った場合の治療として、主流になりつつあるインプラント治療。しかしフラップレス手術は、ネット上はおろか書籍でもまだまだ情報が少ない治療方法です。

「メスを使わないインプラント」は、我々患者にとってメリットが大きいはず。そこで当編集部は、フラップレス手術を前面に押し出している医療法人社団明敬会に取材を申し込みました。

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免責事項

切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて
監修:医療法人社団 明敬会

タキザワ歯科クリニック
03-3685-1444

湘南藤沢歯科
0466-37-3090

一般的な費用相場
190,000~400,000円程度(税抜)
※インプラント1本の埋入価格

【インプラント治療にかかる期間】
インプラント治療にかかる期間は、平均6ヶ月~12ヶ月。

主なデメリット
歯茎の骨の形状、神経の走り方によって受けられない人がいる。

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